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流月の部屋


[2] 鳴き枝と雀
詩人:流月 [投票][編集]

愛される事を知らぬ雀が飛んでいく
愛される事を願う雀が飛んでいく


細い小枝は折れそうだ
小さな雀がただ一羽とまっただけで
痛い痛いと鳴いている
落としてしまうと鳴いている
気付かぬ雀は空を見る
愛が欲しいと見つめている
身近な愛に気づくことなく
ただただ空に歌っている


愛される事を知らぬ雀が飛んでいく
愛される事を願う雀が飛んでいく


そして雀は落ちていく
小枝は音をたてて裂けたというのに
それに気付かず落ちていく
理想の空に思いを寄せて
翼を忘れて落ちていく
裂けた小枝は鳴いていた
気付いて欲しいと鳴いていた


愛される事を知らぬ雀が飛んでいく
愛される事を願う雀が飛んでいく


雀はもう動かない
二度と空を飛ぶこともない
愛を知ることもない

冷えた地面に転がるのは
理想に死に絶えた雀と
それを支えられなかった小枝だけで
雀の小さな目に映るのは
今もきれいな青空で


愛される事を知らぬ雀が飛んでいく
愛される事を願う雀が飛んでいく

2007/02/15 (Thu)

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