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理恵の部屋  〜 新着順表示 〜


[153] もしも明日が来ないなら
詩人:理恵 [投票][編集]

もしも明日が来ないなら
毛布に身体いっぱいくるまって
じっとその時を待つだろう


先週の休日も
先々週の休日も
この重たい身体を引きずって
やらねばならぬことを成さなかったように
あれもこれもと描きつつ
ただ毛布にくるまっているだろう


どうせ今日までだからだなんて
わざわざ疲れることしなくたってと
じっと岩のように丸まって


もしも明日が来ないなら
0時ちょうどに毎日がなくなるのなら
23時には目をつむり
知らぬうちに消えるように
眠りへと落ちていくだろう


やっと終わる安堵に浸りながら
消えぬようにと祈る人たちだけ
残ればいいのにと願いつつ
眠りへと落ちていくだろう




もしも一つだけ成すのなら
あなたへ手紙を書くだろう


いつかまた会うかもしれないと
思いながら生きてきて
それが絵空事だと知ったとしても
きっと私は書くだろう


空のあなたへ宛てた手紙を
こんな時ですら思い出す
太陽のあなたへ宛てた手紙を







2021.12.23.

2021/12/23 (Thu)

[152] 17時にて
詩人:理恵 [投票][編集]


西日の差し込むカフェのすみ
一人の客が出ていった
もうあとは厨房から聞こえる
食器のぶつかる音だけ


私は最初から一人だった
あの人も一人だった


ただ、肩の痛みが
本の世界に入ることを許さないから
私はあの人を見送っただけ


これがコロナ禍か、と感傷に浸るふりしても


私は一人だった
最初から一人だった


この世に生を受けたとき
誰と繋がっていたか思い出せない




光の沈むカフェの中は
不自然なほど落ち着いていた







2021.8.25.

2021/08/25 (Wed)

[151] ジャスミンの香りに誘われて
詩人:理恵 [投票][編集]

さらりと晴れた青空は
秋の気配を連れていました


知らぬ町のバス停で
ふわりと揺れた白い花
香るままに誘われて
カフェの椅子に腰かけて


ピアノの独白を聞きながら
ベランダで揺れるハンガーの
乾いた音も歌になる


針の壊れたコンパスを
ふと思い出した夕暮れ時
なくした路(みち)に戸惑っていた
ひつじ雲も泣き止んで


カップに漂うやすらぎが
じんわりと身体に染み込んでいく





2019.11.25.

2021/03/26 (Fri)

[150] 形にならない
詩人:理恵 [投票][編集]


きいてください
私のおもいを
きいてください
私の叫びを

と、言いたいのに
肝心の内容は
言葉にならない

ただ ただ
うん うん

きいてほしいだけなのに

あの子がムカつくじゃなくて
あの子のココがムカつくとか
でも私の方がダメなところもあって

それを含めて
たくさん愚痴を言いたいのに

たくさんの愚痴が絡まって
言葉にならない





2021.3.26.

2021/03/26 (Fri)

[149] うた
詩人:理恵 [投票][編集]



無理に形づくろうとして
足元ひっかけてすりむいた
痛くて痛くてたまらない
足ひきずりながら、歩いた夜


声の出し方も
ステップの踏み方も忘れちゃいないよ


ただ、誰かの顔色を窺いながら
うたううたに意味はあるのかい?


もどかしくも初々しいうたを
久しぶりに聞いたら
あの日に戻れるわけもなく
先に進んだ自分に気づいた


人間なんていつまで経ってもちっぽけだ
周りが完璧に見えるくらいには


心の中には
黒い塊だってある
あの日にすりむいた場所は
痣になってもう消えない


それでも歩いていくんだ
泣きたい夜には
うたに助けを求めて
うたえない夜には
別の道をさがして





2019.11.25.

2021/03/23 (Tue)

[148] これは詩ではない、詞である。28
詩人:理恵 [投票][編集]



ふわりと浮かんだ白い雲を見てた
気づいた君は少し肩を突っついた
ノートのすみっこにめちゃくちゃな似顔絵
笑ってバレて怒られて二人目配せした

放課後 部活の音に紛れて履き替えた靴
一人で正門を潜る そんな時にも

教室の窓から
君の呼ぶ声を思い出すよ
もう戻れはしないあの日を
胸の中に刻んで

2度目も3度目も桜が咲く頃は
教室の中が少し変わっただけだった
同じ屋根の下黒板に向かった
終わりのチャイムは君との時間の始まり

いつでも隣にいること それが当たり前になってた
今年の桜はいつもと違う春の訪れ

胸に飾っている
花が笑いかけているよ
もう戻れはしないこの道
踏み出した今日の日

教室の開け放した窓から 足早な春風が抜ける
終わりのチャイムが最後の校舎を包んでく

またどこかで会おう
涙目の君が笑うから
僕ももう泣いたりはしない
その日まで笑顔で





2019.2.9.

2021/02/19 (Fri)

[147] これは詩ではない、詞である。46
詩人:理恵 [投票][編集]

夜空に浮かんだ無数の星を全部
掴むことができたら
こんなに不安じゃなくなるのかな

何もわからない世界に産み落とされて
何も知らない他人と
競ったり 笑ったり いがみ合ったり

何のために生まれたの
問いかけた空は答えたりしないし
何のために生きてるの
誰に聞いたって
自分で見つけろって言うんだ


花は散りゆく時が一番美しい
なんてずいぶん勝手なことを言うんだね
滑稽だ

あたしもあなたも誰にも決められない
価値に出会って惑って
泣いたり 拒んだり 認め合ったり

何のために生まれたの
踏み出した覚えはない道に立って
何のために生きてるの
見つけられないなら
死んだって同じに思うんだ

自ら終わらせる悲惨さに
他人は嘆き悲しむけれど
もっとちゃんと見てよ
深い深いその奥を
痛い 痛い 見つめるほど

何のために生まれたの
叫んでも自分の声が返るだけだし
何のために生きてくの
もうやめちゃおうか
疲れてきたの

いくら問うても 無意味なんだ
どこにも無いって 今さら気づいた
それでもたった 一瞬だけ
感じられたなら
なんて願ったりするんだ






2021.2.16.

2021/12/24 (Fri)

[146] これは詩ではない、詞である。45
詩人:理恵 [投票][編集]

斜めから射してた夕陽に影を落として
燃えゆく街並みに僕ら鼓動を鳴らしていた

上手く話せない二人の間に吹く風は
冷たいけど何となく嫌ではなかった

明日は晴れるかな? なんて
小さな画面越しに語り合っていた時も
君に会いたくて仕方なかった

桜咲く季節がまた
やって来るけれど
君のその笑顔がまだ
離れられないでいるよ

あの場所へ続いてく道は遠回りでいい
そう思えた君と歩いた淡い空の下

気がつけばたわいない話もできるようになってたけど
それが当たり前すぎたんだ

今日は会えてよかった なんて
言えないまま街は2度目の冬を越え
温かい日差しを待っている

桜散る頃にはまた
君と笑っていたい
そう願うくらいいいでしょ
君もそうならいいな

桜舞う季節には
手を繋げるかな
画面越しの思いだけじゃ
まだ足りないよ

きっとひとり歩いている
この道の先で
膨らんでいく蕾はいつか
咲き誇ること信じて





2020.2.9

2021/02/12 (Fri)

[145] ある夜のこと
詩人:理恵 [投票][編集]

無理矢理這い蹲った真夜中に
サンサンとシャワーの音がする
屋根から滴る水はバケツを叩いて
不規則な鼓動を鳴らしていた

いつかの夜みたいだ
あれは桜の散りゆく頃
一つ命が去ったことを知って
無自覚に暗闇を見つめていた日

ズキン、ズキンと頭が痛む
まだ私は拗ねるつもりか
過去に戻れやしないのに

サンサンとシャワーは降る
眠る街に絶え間なく
明日は何も知らないふりして
からりと晴れた空を迎える
準備をしてる





2021.2.2

2021/02/02 (Tue)

[144] これは詩ではない、詞である。44
詩人:理恵 [投票][編集]

遠い遠いこの道は
あの人へ続いてる
信じ歩いてきたのに
別つ舟は霧の中

知らない場所に
居座る見えない未来
私は君の笑顔
守れるかな

あゝ あの子もそうなんだろうか
何にもないように笑うけど
あの優しい手は今でも
心の中にあるでしょう


いつもいつも思ってる
あなたに会えない時間
寂しさも全て忘れ
夕べに語り合いたい

それなのにその胸に
しまってる希望一つ
同じ夢を見て
目指す先は

あゝ 僕ら違ってたのだろうか
虚ろな瞳で見ていた
またここへ迎えにゆくよと
指切りをしていたのに

誰にも追いつかれやしないよ
あなたが開いた道だから
その意思を繋ぐために
一人でも駆け抜けよう

深く沈んでゆく
私はあの人の元へ参ります

あゝ 風が噂しなくても
歌声に導かれるまま
今 その優しい手を取って
二人の希望を果たそう




2021.1.30

2021/02/15 (Mon)
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