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理恵の部屋  〜 新着順表示 〜


[103] 
詩人:理恵 [投票][編集]


隣のばあやんちの庭で
一人咲いた花は寂しかろ

三年前まで暮らしてた
ポチの埋まる木の下で
一人咲いた花は寂しかろ

黒い人の涙の跡が
ぽつぽつついた庭先で
じいやはぼうっと空見てた

隣のばあやんちの庭で
咲いた花は知ってるだろか
もうここには誰も来ないこと

黒い人が去ってから
空が高くなった頃
じいやは遠くへ行ってしまった

隣のばあやんちの庭で
一人咲いた花は寂しかろ
今日もひゅるりと吹く風に
一人首を振っている





2017.10.21

2017/10/21 (Sat)

[102] 小説家
詩人:理恵 [投票][編集]


彼は筆を止めた

見上げた塀の上には猫が一匹
つまらなそうに歩いてる

彼はうつつに夢を見て
描き続ける意味を考えた

全てが彼次第の世界で
勇者は勇敢に戦った
手にした秘宝は勇者の願いを叶えて
砕け散った

破片は砂に埋もれたまま
数百年が経って
もう、その存在すら誰も知らない

物語の終わりに
勇者の笑顔すらなくて
誰も見向きもしないまま
日常は流れてく





H28.1.6

2017/09/30 (Sat)

[101] 
詩人:理恵 [投票][編集]

トッコンカラリ、トッコンカラリ

つむいでいくの、ひとつひとつ

トッコンカラリ、トッコンカラリ

いち、にの、さん、し、

トッコンカラリ、トッコンカラリ

ひとつがふたつの四角い井形

トッコンカラリ、トッコンカラリ

これはあなたで、これがあのひと

全部つむいでわたしになる。





2017.9.21

2017/09/21 (Thu)

[100] 鼓動を鳴らして
詩人:理恵 [投票][編集]

今も聞こえるでしょうか
あなたと出会った暑い日が

最後にあなたは
あの日をはっきりと覚えていると
言ったけど

あなたと別れて時が経ち
私は忘れそうです

こんなふうに
人は老いてゆくのでしょうか

あなたの愛犬の誕生日も
忘れてしまいました

ただ、最後に
白い部屋に舞うであろうあなたの影を
見ることは叶わぬと
離した手

あなたは今も
そこにいますか?

頭の片隅で凛として
時々、ふわりと舞い降りる

今も、その鼓動を
感じていますか?

私はもう一度
あなたに会いたい。






2017.8.15.Tue

2017/10/09 (Mon)

[99] 思い出すと
詩人:理恵 [投票][編集]


過去を思い出すと、
時々死んでしまえたらいいのに、
と思う。


嫌だったことを思い出すと
この身が砕けても無惨でも
全てがなくなればいいのに、
と思う。


あの人を思い出すと
桜の花びらに埋もれるように
深い海の底に沈むように
悲しみと安心に襲われる。


この違いはなんだろう。





2017.8.15.Tue

2017/08/15 (Tue)

[98] Dear Music
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時には冷やかされて
時には嫌がらせされて
僕には、素直に愛せなかった

そんな時を経て
僕はまた、君と出会った

今は、冷やかす人も
嫌がらせする人もいない中で
時々、悲しかったことを思い出すけれど

また、隣にいてもいいですか?

親愛なる君へ





2017.8.5.Sun

2017/08/06 (Sun)

[97] 私の作品たちへ
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大したことないなんて
謙遜したふりして
愛のことばをかけてあげられない

褒められたなら
いい作品なのだろう、なんて
褒められたから
愛そうなんて

ごめんね

私の子どもたちは
深く傷つき
疑心にあふれる

思ってるだけじゃ
伝わらないんだよ

ごめんね
もっと愛したい
もっと愛そう

やっと
そう思えるようになったの





H28.6.4

2017/06/04 (Sun)

[96] 午前ニ時
詩人:理恵 [投票][編集]

疲れた身体が目覚めると
窓は漆黒の闇
雨の叩く音だけが
辺りを包み込んでいて
熱いシャワーを浴びながら
あと二時間だけ眠ることを考える

髪からしたたる雫を拭い
コップ1杯の水を飲む
巡る水はすっと身体を重くして
眠りへと私を誘うけど

熱い風を髪に当てながら
ふと川辺の桜を思う
今年もそんな季節が咲いていた

儚く咲き散りゆく姿に
何人もの芸術家がそれを唄い
その下で陽気な人が酒を飲む

染みゆく水を感じつつ
また一つ季節が終わったと
ふっと悟った午前二時





H29.4.9

2017/04/09 (Sun)

[95] 今日の失敗
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帰ってきてから気づいたの
もう、あなたはいないんだって

おいしい料理
作ろうと思って材料も買ってきたのに

疲れるよ……それでも

あなたに会いに
もう一度、この部屋を出ていくの

買いにいってきます
サラダ油




H29.2.19

2017/02/19 (Sun)

[94] リップス
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通り雨の降った日に
あなたはぽつりと呟いた

もうこれで終わりだね

って

私はただ、俯いていた

何がそうさせたのかは知らないの
桜の散る春の日から
雪の積もる一昨日まで
気がついたらなくなっていた

私は手のひらに
リップのかけらを握りしめながら

この紅も
あなたのために選んだのに

って 涙を
こらえた

最後に キスして
そんな願いも言えぬまま

あなたは 雨と共に
去っていった




〜Goose house『L.I.P's』を聞いて〜
H29.1.22

2020/03/21 (Sat)
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