詩人:理恵 | [投票][得票][編集] |
暗い吹雪の向こうから
列車の明かりが近づいてくる
どこの雪国の景色だろうと苦笑して
開いた車両に乗り込んだ
窓は曇ったまま 街の灯りを曖昧にして
それでも降り続く雪は目に映る
髪から白い雫が落ち
ひやりと手の上を濡らしてく
さっきの苦笑が嘘のようだ
急に親しみを覚えてしまった
その冷たさに
その容赦のなさに
この窓の向こうは
私の心だ
十個の駅を通りすぎ
降り立ったホームには
サクリと足跡が記されていく
ああ、私の心だ
コートに手を突っ込んで
白い息を吐くような
冷たい冷たい心の中
君とは仲良くなれないが
恐らく君は私だ
悲しくなるこの気持ちすら
分かち合えるような冷たさに
ひとりぼっちの寂しさすら
体現した静けさに
ここは現か幻か
色のない世界は惑わせる
このままこの景色に浸かっていれば
すべて忘れてしまいそうだ
ただ、どうか
時間が止まればいいのに
そう願う自分がいる
H30.2.23.Fri