ホーム > 詩人の部屋 > 理恵の部屋 > 17時にて

理恵の部屋


[152] 17時にて
詩人:理恵 [投票][得票][編集]


西日の差し込むカフェのすみ
一人の客が出ていった
もうあとは厨房から聞こえる
食器のぶつかる音だけ


私は最初から一人だった
あの人も一人だった


ただ、肩の痛みが
本の世界に入ることを許さないから
私はあの人を見送っただけ


これがコロナ禍か、と感傷に浸るふりしても


私は一人だった
最初から一人だった


この世に生を受けたとき
誰と繋がっていたか思い出せない




光の沈むカフェの中は
不自然なほど落ち着いていた







2021.8.25.

2021/08/25 (Wed)

前頁] [理恵の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -