詩人:花房優希 | [投票][編集] |
信じることを止めた
貴方を信じることを、放棄してしまったの
だから、私は貴方を忘れるわ
微塵も残さずに、跡形もなく
すべてはあの日の雨に流されたかのように
あの涙とともに、ひとつずつ私の中から零れ落ちていった
部屋に置き去りにされた思い出さえも捨ててしまって
けれど、どうしても消えないものがある
どうしても消せないものがある
私の、心
この目が光を知らなければ
この耳が音を知らなければ
この唇が言葉を知らなければ
この心が愛を知らなければ
貴方を思い出すこともなかったのに
私は未だ 鍵の開けられた檻でひとり動けずにいる
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アンタの声を覚えてしまう前に
アンタの声が染み付いてしまう前に
アンタの声を、忘れてしまえる内に
どこか、とおくへ、逃げてしまいたい
こんな、月夜の暁に
つれてって
誰か、さらってよ
痛みを知らない夢の世界へ
天国行きの切符なら持ってるから
だからどうか迎えに来て
最後まで意地悪く足掻こうとする私を
今宵も貴方の腕の中で列車が来るのを待ってるの
ねえ
嘆きなんて要らないからさ
とっておきの喘ぎを与えて
こ の 息 が と ま る く ら い に 。
目を瞑れば3・2・1
とっておきの天国に御招待
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気付いて欲しくて
気付かれるのが怖くて
相反する心は押さえを効かずに独り走り
助けてと叫ぶ勇気がなくて
異質なものを見る目が耐えられなくて
私は今日も紅い涙を流す
傷だらけなこの腕は
寂しがりやの証
私が生きてる証
ねえお願い、
「止めろ」なんて言わないで
幸せになりたいなんていわないから
せめて、許して欲しい
こんなことでしか生きてるって思えないちっぽけな私の存在を。
「助けて」
気付いて
「助けて」
気付かないで
だって
「私はここに生きていたいの」
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貴方の色に染まった部屋には
今でも独り善がり 想いだけが溢れかえって
遠くの人を振り返り目を瞑った
裸足で茨の上を歩いているように痛かった
血だらけの包帯は葬り去られ
カサカサの瘡蓋を弄ぶ
愛を語った指先は 今ではすっかり傷だらけ
癒えない過去を引き摺っている
カーテンを開けないのは
外を見るのが怖いから
貴方がいないのが怖いから
「明日」を見るのが、怖いから
愛を知った私は臆病者
縋り付いて泣き叫ぶことすら出来ない
愚かで卑怯な道化師
笑顔さえも忘れてしまったよ
軋んだ胸は貴方ばかりを追いかけて
はやくおいでと声をかける
彼岸の向こうに君を知る
いつだって私は置いてけぼり
貴方の背中を見つめてる
ああ、まだ当分
私はキミを忘れられそうにないようだ
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溶けるように 踊る
甘く苦い熱の中
私は蝶のように舞った
ひらり
ふわり
闇に紛れるように、泳ぐように
カラダを蝕むは、塩酸の海か
沈みながら光を見た
反射して、歪んだしろい閃光を
継ぎ接ぎの心は鳥に喰われ飛び散って
残ったのは、役立たずな精神
残像だけがゆらゆら揺れている
「思い出」という名の、キレイな虚実
そうして、
ワタシは人の形を亡くしてゆく
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きっと私は眠りから目覚めない
いくら怒鳴られたって目覚めない、夢の世界
まどろみは苦しさを持て余して
淡い浮遊感に酔い痴れる
空も飛べると稚拙に信じてた
それは嘗て夢見たネバーランドのよう
自由な国を求めて駆け巡る
明日はいらない
今日がほしい
願いは儚く残酷で
信じることをしなかったのは
物語の終焉を分かっていたから
寂しんぼうだった私は今でも夢をみる
哀しみに染まった夢をみる
ピーターパンはケラケラと笑った
ティンカーベルは魔法をかけない
それは朝焼けを催すものか
夜明けが直にやってくる
それでも私は目覚めない
永遠の眠りのなかで、乾いた心で笑い続けるの
涙でぼやけた世界を、哂いながら
ずっとね
ずっとね
貴方の声で目覚めるときを、待っていたかった
きっと私は目覚めない
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雨が降った。
花が散った。
愛が終った。
愛していたと、
過去形にして叫んだのは、遠い昔。
今でも時々振り返る。
色とりどりの傘をすり抜けて、君の面影探すよ。
どしゃぶりの視界は蜃気楼のようで。
遠い君がそこに居た。
伸ばしても届かない手は、何も捉えずに。
ただ、君が笑っていたので笑ってみた。
歪な笑顔は想いの証。
いまでも君を愛している。
役立たずな口は、ひとこと想いを吐き出すよ。
「さようなら」
虹も出ない、泣きたい六月の午後。
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何度も 何度でも
私は生まれ変われるの
貴方の傷だらけな腕の中
ちっぽけなその声の中でだけ
私は何度だって生きてゆける
朝を迎え はじまりの鼓動が鳴り響き
夜が覆い 枯れ果てた貴方が胸を貫く
目覚めはいつか。
途絶えはいつか。
そう問いかけるは何もない
「だって貴方はそこにいる」
「だって私はここにいる」
そう、
いつだって どこだって
何度も何度も
何度も何度でも
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幸せな夢を見た。
現実には在り得ない夢を見た。
それがこんなにも欲しかったのだと、切なかった。
痛かった。
いくら祈っても、欲しても、届かない。
我侭に「ホシイ」と言えれば、何か変わっていたのかな。
けれど、それも全ては過去の話。
貴方はきっと泡沫人だったんだね。
笑みだけ残し、逝ってしまった。
残酷な人。
酷く 狂おしいくらい に。
(どうか消えないでと泣き叫んだは、泡沫の幻)
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ちっぽけな声だったけど
僕の耳に届くには、十分だったんだ。
かすれた叫びだったけど
僕の心に響くには、十分だったんだ。
ちぎれた祈りだったけど
僕の腕に抱くには、十分だったんだ。
(君ノ嘆キ。僕ノ痛ミ。)