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花房優希の部屋


[13] 伸ばした手
詩人:花房優希 [投票][得票][編集]

お願いよ、愛しい人

声を殺して泣かないで

もっと大声で泣いて、子供のように縋って欲しいの

独りで弱音を溜め込んだって

見ていてつらいだけなのよ

ねえ、泣いてしまうわ

いくら抱きしめたって、傷が癒える訳ではないんですもの

貴方の身体を抱きしめることで

その傷さえも受け入れているように錯覚できた

その度に、傷を負った身体は悲鳴を上げていたことも知らずに

その痛みに酔い痴れていたのは私

何も知らない振りをした愚かな私

とても滑稽ね

結局可愛いなのは自分なのだと云ってるみたい

貴方を愛しいと思っているのにね

でも駄目なのかな

他人だから、いちばんには出来ないのかな

何よりも大切に思うことは

出来ないのかな

泣いているのなら、涙を拭ってあげたい

悩んでいるのなら、話を聞いてあげたい

苦しんでいるのなら、その重みを取り払ってあげたいのに

全部、自己満足でしかないのかなあ




貴方が好きです

貴方が大好きです

とても愛しいんです

でも寂しいんです



きっとこの手は届かない

(すれ違うのは想いじゃなくて、)

2008/04/26 (Sat)

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