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阿修羅の部屋


[50] 涙歌
詩人:阿修羅 [投票][編集]

吹き抜ける冷たい

風の中を

失くした何かを
腕に抱いて

立ち尽くした

遠い、とおいあの日


涙は拭いて、と

頬を拭ってくれた人を
私は殺してしまった

崩落する、現実と

粉砕された、貴方の心

拾い集めて、泣いた


また、また、と



己の廻した歯車

誰も触れてはいない

あたしだけが
周りを失くして

立ち尽くす

誰もいない、が本当

見つめた先は蜃気楼

ぬくもりさえも

歪んで消える



苦しかった、ね

放してあげなくちゃ

あたしの鳥籠は痛い


さよならの代わりの

最高の接吻を


触れるか、触れないかの

未練など残らぬような


淡雪ほどの、儚さで

2006/01/10 (Tue)

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