詩人:フィリップ | [投票][編集] |
爪先の肌寒さと
秋の匂いを感じながら
早朝に家を出た
もう何年も
着ることのなかったシャツを着た
ついでに
ブーツを初めて履いてみた
なぜだろう
ストライプの中に
愛の兆しと
君の首筋の匂いが
混ざっている
僕はふいに
ポケットに手を突っ込んでみた
詩人:フィリップ | [投票][編集] |
生まれ落ちた途端
泣く事を覚えた
つまずいた世界の先で
たった今落としたものは何だったろうか
パシャリと撮った
写メールの中にさえ命が煌めいている
それが
世界の美しさということを
僕は今、知ったみたいだ
詩人:フィリップ | [投票][編集] |
シーン12
「湖畔の二人」より
旅人:悲しいかい?
リオ:悲しいって伝えたら、逆に伝わらなくなるわよ
旅人:それでも悲しいんじゃないか
リオ:うん…そっか、これは悲しみって言うんだ…
詩人:フィリップ | [投票][編集] |
シーン16
「空の約束」より
ゼノル:風化していくね、何もかも
旅人:でも君は残ってんじゃん
ゼノル:ホントだ
何でだろ?
旅人:知らない事が多い奴だなぁ
詩人:フィリップ | [投票][編集] |
シーン17
「ヤナザの死」より
リオ:死んじゃったね…ヤナザ
パルコ:これが悲しみかい?
そうなんだ
リオ:人間ってめんどくさいのね?旅人さん
旅人:そのめんどくささが、君たちが生きてる証拠じゃないか
詩人:フィリップ | [投票][編集] |
最終シーン
エル:これが僕の使命だとしたら、旅を続けた甲斐があるというもんだね
長老:人の世もこの世界も、悲しみや喜びの要素、区別が無くなる日が来るだろう
エル:記憶は、口元に残ればいいです
長老:行くが良い。帰るべき世界へ
(旅人〜エルとリオの心の扉〜)
詩人:フィリップ | [投票][編集] |
呼応する風凪が
君の髪に孕まれた
改札機をくぐると
知らない景色が広がっているように
世界もまた
何度かの脱皮を経て生まれ変わる
温もりの中で生まれ続ける僕の声を
遠く、君の街へ届けてみよう
ふれて、夕風
さっき買った缶コーヒーの温度が
いつかの君の手のひらと同じだ
詩人:フィリップ | [投票][編集] |
うすくれないの空を
渡り鳥が滑ってく
見慣れた筈の
朱いシルエットが
僕の感覚を
その何十倍にも
研ぎ澄ましてくれる
チェリオグレープ
チャーリー・ブラウン
オンシジウム
光の速さで上昇する虚心の中に
僕はピーナッツを投げ入れる
「I Can fry」って
こないだ姪っ子が
叫んでいた
詩人:フィリップ | [投票][編集] |
夢の中で
猛烈に君に逢いたくて
目が覚めたら
猛烈に君に逢いたかった
コクコクと
何でもない筈の時計の秒針が
音を立てて
世界を右から左へ
ずらせていく
一定の速度でもって
無気力な想いを
からっぽのビンに詰めて
僕は駅に向かった
口癖すら
思い出せないけど
何でもない君の存在に
生かされているのだ
僕は
僕らは
音無きメロディ
声無き叫び
君無き、律
歌詞の無い歌を
この声に乗せて
月の向こうまで
飛ばせたなら
僕らは明日を過ぎても
繋がってゆける
詩人:フィリップ | [投票][編集] |
駅前のカフェで待ち合わせていた君は
シナモロールを持て余しながら
睫毛を弄っていた
風の吹く
空のまにまに
飛ばされていくように
珈琲をすする
風花ちらり
鳶がクルリ
吹き抜ける風が
窓の向こうから
君の睫毛を揺らす
るりら
るるりら
ふれた珈琲の温度で
上口部を火傷した