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フィリップの部屋  〜 投稿順表示 〜


[263] カラクレナイ
詩人:フィリップ [投票][編集]

からくれないに染まった夕日は
カラクレナイに落ちていった
時間は流れていくのではなく
風化していくだけだと知ったのは
一昨年だった気がする


からくれないに悩んだ日々は
カラクレナイに過ぎていった
ネジ巻き式の季節と一緒に
君はまた色を変え
四季の窓に座っている


からくれないに恋をして
カラクレナイな恋をしよう
自由自在の心でもって
踏み出した未来は
うすくれないに
染まっていた

2007/12/04 (Tue)

[266] 鳥の人シーン別セリフ集
詩人:フィリップ [投票][編集]

鳥の人:義務感とは実に下らない
それは地獄だよ

ワタル:?

鳥の人:翔びたければ、翼や風でなく、君自身の内にまず帰るべきだよ

2007/12/19 (Wed)

[267] 夕風スイッチ
詩人:フィリップ [投票][編集]

懐かしいメロディーと共に
黄色い夕暮れが
僕の鼻を突く

鍵をした部屋に
未来の物語は
夕風の予感を纏いながらやってくる
僕のスイッチは
まだ切られたままだ

目を閉じれば
眠り続けてしまう
世界が其処に在る



下がり猫を追って
迷い込んだ路地裏
思い出す
夢の足跡

夕風スイッチ
夕凪の、調べ

2007/12/29 (Sat)

[273] わたしの知らない空
詩人:フィリップ [投票][編集]

私の知らない空が
虹を抱いて
やってきた

明日という日は
また明日に延ばされてしまって
私は未だに朝焼けを見ていない


いつか
異国の浜辺から
青空を通して
日本を見たい、と
言っていた君の
足跡を追うために
シンガポールの浜辺から
僕はナイフで
異国の情緒を切り分けている


タバコをくゆらせ
汚れた窓を
拭いてみた

うろ覚えの街に
沈んでいく空は
私の知らない色をしていた

2011/09/01 (Thu)

[276] ダチュラの羽音
詩人:フィリップ [投票][編集]

くたびれた体を
大地に立たせ
呼吸をする
誰かの思考を読み取ろうと
花は太古の世界に
物語を探していた


葉は既に
変色し元の形状はなく
カサつく土が
こびり付いている
この花は
僕たち人間と
どこか同じだ


喜びも
悲しみも
全ては雨の朝に生まれ
濡れながら
生き長らえている

ダチュラという名は向いていないと気付いてはいたけれど
悲しみは
時に美しい



絡まった羽根を震わせ
その羽音は
重なり合い
人間の何となるのか


もっと高くへ
飛べるはずだろう?
変わらない温度と
大地の移動速度に
欺き
不服従しながら
この花は
人間の何となるのか


世俗化した
未来を超えて
まだ見ぬ世界へ
飛び立とう
ここではない場所が例え
ガラスコップが営む世界だったとしても

2008/01/16 (Wed)

[277] 今夜はもう、そんな夜
詩人:フィリップ [投票][編集]

なんにもない
なんにもなかった
ただそれだけの
退屈な紺色
今夜はもう、そんな夜



再生する世界の後
僕らは生まれ
僕らが再生すると
世界はまた
どこかへ流された
哲学的な妄想
それはきっと
幻なんだ
今夜はきっと、そんな夜



真夜中の静寂
海を越えた国の戦火
星空の眩しさ
象の目ヤニ
全ての世界のその果ての
無限の世界へ行きたい
今夜はもう、そんな夜だから
今夜もまた、そんな夜になると思う

2008/02/05 (Tue)

[278] 明けない朝は、明けない朝に
詩人:フィリップ [投票][編集]

紺色と
静寂に包まれた
世界を
僕は切り分けている

ナイフとフォークの両方には
朝と夜がこびり付いていた



夜風と朝風
どっちでもいいけれど
どっちが寒い?
どっちが痛い?
答えは、同じくらい、というそうだ



明けない夜はないってことを
明けない夜に考えていたんだ
明けない朝はないってことも
明けない朝に信じていたんだ



ワイングラスの
透明さでもって
明けない世界を
リライトしよう

朝と夜
その間の
明けない時空に
僕は多分
恋をしている

2008/01/23 (Wed)

[279] 成分
詩人:フィリップ [投票][編集]

人体の70パーセントが
水分で出来てるように
人生の70パーセントは
苦痛で出来てるんだ

2008/01/24 (Thu)

[280] なんでもないこと
詩人:フィリップ [投票][編集]

生きているって
不思議だね
ふしぎ
不思議界
不思議かい?
そう
やっぱり不思議なのね
生きてるってことは不思議なのさ


木の枝先を
折ってしまった
折れてしまった
俺ってしまったちゃんだな
再生するだろうから大丈夫だよ
世界と同じさ
たぶんね


なんでもない
何でもないこと
何でもないから
何でもない話を
君としよう
何でもない
なんでもないこと
韻を踏んでみただけさ
何でもないから
なんでもないんだ
アルデバラン
アルディージャ
アルパチーノ
カプチーノ
ほら
何でもない
なんでもない

2008/01/28 (Mon)

[284] ガイア
詩人:フィリップ [投票][編集]

夜明けの空は
いつも無表情のまま朝焼けと
夕焼けをつくる
ただやはり
無表情のまま


何かを得ようと
泥まみれになる少年は
地平線の彼方へ
夢を抱えている
音楽を得た私はただ
ギターを抱えて
立っているだけだ


水道も
電気も
ガスも無いけれど
その地の空は美しい
誰も見たことのない夜明けが
世界の果てで
繰り返されている
その光景は
世界の呼吸

繰り返される呼吸の裏で
繰り返される幾多の命
悲しみと喜び
死と再生の区別を超えて


帰路につく
私を乗せた列車は
母国とあまり変わらないけれど
その空気はやけに冷たい

さよならを言う為に朝があるのならば
その空気と光景は
私の中で
日々、繰り返される


バイバイ、線路上の野良猫
風に乗って
大地にかえるのだ

2008/02/24 (Sun)
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