詩人:フィリップ | [投票][編集] |
つい最近
隣の世界から越してきた友人と
信号待ちをする
小さく流れ出る
異国の情緒が
空を紅く燃やす
溶け合った紫とオレンジからなるブルースだけが、君のすべて
交差点の角度で消えていく世界の小ささに
僕は驚愕した
世界の最期は
案外早くに来るものだと思った
異国の匂いが幾らか好きになった途端
あっけなく消えたのには
怒りも悲しみもなく
そのくせ
右手に見える大病院では
世界は再生を始めている
屍の山を踏み分けてくるものを
明日と呼ぶのだ
どこかで誰かが
未来だと言うのだ
「山本君、なんか夕焼けの匂いがしますよ」と
倉敷の街で
倉敷の友達が言った
隣の世界に愛を馳せたくて
信号待ちを諦めて
老松の裏路地を歩く
ホテル街を歩くうちに僕は
あの日のブルースを思い出した
SunSet Bruce
今日と同じ
うすくれないの空
異国のメロディを捨て去って
僕がアレンジした隣の国のブルースは
確かそんなタイトルだったと思う