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フィリップの部屋


[322] 僕たちには、夜がある
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砂が降って
闇の帳を越え
皮膚だけが呼吸を忘れていく
流れ星
鍵をした部屋に
ヒーローの絵本
夜は
いつだって灯りを求めてくる


夏の果て
フロリダの夕焼け
受話器越しに
声で愛そう
夜が迫ってくる
太陽が消えていく
多分、世界なんて
鉄柵なんかで囲まれていて
果てなく有限だ
つまみ恋
キーボードに託された想いが
風に揺れている


眠る前に
アドレナリンを噛み砕く
今日の僕は死んだ
湧き上がる何かを抑えるだけで
また新しい僕が生まれる
星の輝きも
月灯りもいらない
僕たちには、夜がある
はりめぐらせた送電線をくぐって
浜辺を走ったりしながら
ひたむきに時間を旅している
輪郭だけを残した
僕の夜が明けていく

世界がつづくとしたら
明日は来る
部屋のブラインドの角度で切り込んでくる今日を
誰かが朝と呼ぶ
また生きなければならない時間を
僕はただ
寝て過ごしている

2008/08/15 (Fri)

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