親指の動きが次第にあなたを描いてきたのでそろそろまた逢いたくなってきている完成した器を求めてさ迷ったあげくに待っていたのが幸せというものなのかどうか、曖昧どうかして、寄り道のように好きになったつまらない恋だというのにおっさんに睨まれたというより僕はその時、世界から睨まれた気がしていた三十にもなるというのにそう、何かが言った無数の瞳が、僕を見ている手首に残った傷が初めて、ズキンと痛んだ
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