詩人:フィリップ | [投票][編集] |
知らない言葉を知る度に、大人になったフリをした
そうして僕は
本当に大人になっていった
アネモネの花弁に付いた朝の一片だけが、まごうこと無き現実だと知って
そういえば、と過去へ
片足のさきっぽだけを浸してみる
思ったより様々な重みの中で生きていたようで驚いた
二十一年という年月は案外重い
知らない誰かに半人前扱いされたとして
それは何の脈絡もない事を教えてくれたのが
明日って存在だった
生きているうちに
僕らはどれだけの朝を超えるのだろう
新橋駅の改札で
知らない国の大使館で
まだ見ぬ君とベッドの中で
僕らは様々な希望を越えてゆく
今日も明日も明後日も
夜のような日常が僕らに付けた痣を
夜明けが、打ち払っている