詩人:是清。 | [投票][編集] |
灰褐色で塗れたからだ
濯がう、濯いで消さう
援けを求める卑しいこころ
濯がう、濯いで魅せやう
駄目だよ昨日曲がつた道
又今日も手招きしてゐる
素敵だね整つた路
渇き切つて罅割れた模様、奇麗
誰もが満ち足りてゐるなら
此処に川等出来ないさ
誰も躓かなかつたら
此処に橋等出来ないさ
橙色の穏やかな町に帰り着きたい
橙色の穏やかな町に君が帰り着けますやうに。
欲求と理性のあいだで君が溺れてしまわぬやうに。
哀しみと悦びの間で君が擦り切れてしまわぬやうに。
すべての白と黒の、
先へ向ふ幾つもの橋で、
君が立ち竦まぬやうに。
きみはわたる、
あすといふなのはしを
ぼくはただみてゐる、
きみがわたりきるのを。