寂しがりの蟋蟀と滅多刺しの積乱雲、擦れ合って生まれた黄色い糸が掻き乱す「斑に成った所謂養成中の茎、其の全体」愛すべき此の町で腐り掛けの青いトマト、甘酸っぱさを感じながら夕日と後ろに倒れ行くよ。焼けて爛れた道、昨日の夢と謂う名のアスファルト打った水に打ち帰されて結局冷えずに君を待つ肝心な処は何一つ聞いちゃ居ないんだ、毎度上手く騙された僕は反撃に出る。煩い盛りの蝉、気を配って結果零れた、僕の嘘と空気を湿らす生温い七月の雨。
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