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是清。の部屋


[96] とかげ。
詩人:是清。 [投票][編集]

やさしくないよ
やさしくないよ
善人何てひとりも居ないよ
皆何処か取り作つて
彼れや此れやに怯えて居る
膝を抱いて口を閉ぢた

伏し目がちにして居る子
彼れはこつそりと僕を睨んでゐるのさ
違ひないよ/見て御覧
奇麗な手を強く握り込んでゐるでせう
彼の手は僕に振り上げられる為準備されてゐるのです

誰も誰もがひとに憧れ
神経を自らを擦り減らし他人の形の皮を着る
軅て腐り果ててまう一度河を流れるだらう
定められた年の後に

道を行く沢山の眼や手や足を持つたとかげ
さぞ僕が忌々しからう

僕は真白な蛇の革を得てゐる。

2004/04/27 (Tue)

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