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清彦の部屋


[104] 鐘が鳴って
詩人:清彦 [投票][編集]

探していては見つからないだろう

そう、お前が焦れば焦るほどに


この切符は自由への手掛かりか?

さては、奈落への罠か?


呼び声虚しく、背中を追うだけ

後ろ指なんて刺す程近くもない

囲んでいる人だかりが邪魔だって

さっきから何を言っているんだ?

ここはさあ

だって

ずっと前から

お前ひとりだろう?



鐘が鳴って

またひとつ消えてゆく

その度に仕方ないと惰性を

飲み込んできた

薄れゆく意識の中に僅かに見た

あの場所 あの声は

今や立派にまがい物に覆われた


そうだ、ようやく

この場所を抜け出すんだ

孤独や不安や憤りの闇で

ひっそりと漂って


幸せや満たされることなんか

初めから望んでいなかった

ぬかるみへ沈んでゆけ

そしたら今度

再び、

鐘が鳴ったときは

お前は

2015/01/31 (Sat)

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