詩人:清彦 | [投票][編集] |
中一の言わばガキんちょのくせに
小生意気にも制服姿の君は
得意気に煙草なんか吸ってた
リストカットの後は痛々しくて
それはタトゥーのような生きざまで
細く君の好きな赤色に
うっすらと刻まれていたね
どうしてかな
生物というのは
雄だの雌だのという生物的本能で
性格や環境の不一致も乗り越えて
まるでベルリンの壁でも壊すように
君と僕はすぐにひとつになった
おかしいよね
予測なんて出来やしないから
大人になりながら
愛し続けるんだ
濁流に飲み込まれ
社会の荒波を掻き分けて
喧騒と欲求の狭間を進んだあの頃
会えなくなっても
僕は君に歌い続けていたよ
やがて波は静まり
穏やかな日差しの下
ぼんやり
浮かんだ身体と心
導かれるように僕は
君に会いに行くんだ
深く深く
潜水していこう
煙のように昇ってく泡の粒たちを
僕だけが逆流して沈んでいく
潜るたび
ドクン
ドクン
まるで夜空のように
水中に月明かりほどの光しか
届かない程 潜ったところに
きっと君がいる
潜水していこう
苦しみも痛みも悲しみも
水に溶けてしまわせて
もう二度と浮上させまいと
皮膚や鼓動でさえも
僕を僕たらしめない
あのとき
君と僕はひとつになったんだ
そう
君だけに会いに
僕はこのまま沈んでいくよ