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清彦の部屋


[13] あの日睨んだ空
詩人:清彦 [投票][編集]


駅のホームで

座り込み電車を待つ

空を睨むように

見上げては孤独だった

きっとそれは同時に

孤高でもあったはずなんだ



貧乏な事にだって

プライドを持てた

些細な言葉だけで

怒りに震えた

恥ずかしい事さえ

楽しんでしまえた

俺が俺じゃなきゃ

生きられなかった



つまり僕はもう既に

あの頃の僕じゃない

あの娘が愛していた僕は

この世には存在しない



時々襲ってきた強烈な焦りも

「あいつは馬鹿だ」って周りからの評判も

都合が良過ぎる行き過ぎた我が儘も

詩を考える時に襲われる絶望感も

「お前がいなきゃ、愛が無ければ生きられない」と

本気で叫んでもがいていた俺も

全て消えたんだ

ドス黒いインクの下

二度と現れないように塗りつぶした





そして僕は今

青空をただ見上げる

何の衝動も起こらない

平和な青空を見上げる


俺が生きてる理由は

何だっただろう

恐らく君の事さえ

忘れてしまうだろう


このまま雲のように

流れていくのか

ゆっくりと穏やかな平凡に

流されていくのか




 

2011/11/07 (Mon)

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