朝の 白いカキリとした空気白む 街しとりとした窓指でなぞるらくがきはーとハナ懐かしい きみのなまえその字がなみだを流す前手で 拭き消した結露に 奪われた熱鈍る 指先冬が来るねきいてきた暖房がほわりと 躰を包んでも芯は 冷えきってこの窓からの街少しも変わらぬのだからあの冬のままあなたがここにいないわけないのにせめて 霞むこの朝くらいあの冬の幻を 見させて
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