詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
そう僕が想うよりも
ずっと世界は広くて
知らないことが所狭しとあるでしょう
知ったかぶりするなんて嫌われますよね
少しばかりの知識さえあれば
そうたとえば大好きな誰かを愛するための知識さえあれば十分なのではないでしょうか
雨上がりのバス停で
今日は待ち合わせ
化粧なんて
服装なんて
それよりも大事なもの決して忘れないで
誰よりも愛してる
あなたへのお願い事
なに難しいことじゃない
心だけは素っ裸のままで
着飾るのは外見だけで
心だけは着の身着のままでいて欲しい
それだけ忘れなければ
僕はずっと
君の大好きな人でいられるはずだよね。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
幾つもの夜が訪れ
何度あの月の輝きを目にしただろう
見る度、見る度
想うことは
いつも変わらず一つだけ
君を想い
その度、その度
溜息を零す
それはもう
毎夜のように
何度も何度も
僕は溜息を夜に零す
でも、きっといつか言わなければならない
胸にしまい込んだ今のままじゃ
とても苦しくて苦しくて居られないから
きっと僕は君に打ち明けるんだろう
この胸にある気持ち
それがもとで僕を悲しみの中へ追いやったとしても
後悔はしない
自分で決めたことだから
きっと言わないでいるよりずっと傷みは浅くなると想うんだ
きっとその方が良いと想うんだ
そして今夜も
月は闇に身を潜め
僕を遠くから
見下ろしている
それはもう
ずっとずっと
遠くの方で
見下ろしている
まるで
僕を急かすように
眩い輝きを放って
僕は未だ言えずにいるもどかしさを胸に
大きな大きな溜息を零す。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
夜空に輝く数え切れないあの星のように
僕らの愛も限りなく深みを増し続けますように
僕は一人
夜空に願いをかける
誰かがくだらないとバカにしても
それでも僕は願い続ける
どうか僕らの明日が楽しいものでありますように
どうか僕らの未来が目映いものでありますように
僕は夜空を駆ける
星々に願いをかける。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
花びら一枚
水面に浮かべて
流れゆく
その行く先を見送る
自分の血を分けた
あなたという花びらが
あんなに幼かった あなたはいつの間にやら大人になって
私という花から離れ
愛のもとへ
夢を求め
泳いでいく
ゆらゆらと
泳いでいく。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
その色で その色で
僕を隙間なく染めてよ
その笑顔 その笑顔
今だけは緩めないで
君が泣くと
僕も泣いてしまうから
泣きたくなったら
お互いに別々の部屋で
泣きましょう
気が済むまで
泣きましょう
そして今日も
窓の外では夕陽が沈む
空をきれいな茜色に染めて
夜になれば
誰かの帰り道を
月がそっと照らすんでしょう
暖かなその光で包み込むように
そして昨日のように僕を今夜も照らすんでしょう
愛する誰かの笑顔まで
月は僕をその光で導くんでしょう。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
見栄の張り合い
人は偽ることでその場をやり過ごす
それが良い嘘だとしても悪い嘘だとしても嘘は嘘
気づけば人は嘘を実用化して
ふと気づくとまた嘘をついてる
ほらまた口がすべったって言い訳をする
嘘には二種類あって
無意識につく嘘と
意識的につく嘘がある
人はずる賢いから
嘘を巧みに使いこなす
まるで一つの道具のように
人は嘘をつき
そして真実を巧みに利用する
それは善にも悪にも利用される
それは私達が普段暮らす生活の中に深く根付き
どんな人の心にもそれはあり
私達は誰しも嘘をつき
それが無意識なのか
意識的なのかは別として
人はあたかもそれが真実のように見せかけ
そして今も昔も日常的にそれは心にとけ込んで
いつでも人の心を惑わし操作する
それが世に言う偽り
いわゆる嘘なのだ
この世で最も
悪しき言葉
時に
善にも悪にもなる
それが虚言。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
『キズアト』
自分にしか解らない苦しみや傷みなんて
まさか他人になんて解りっこないんだ
だって自分にしか解らないものだから
同じ世界で生きていたって
歩いてきた道が人それぞれ違うから
きっとこの傷跡は他人のあなたには見えないでしょう
それでもあなたはあなたのやり方で
僕のこの傷跡を
この苦しみを
解ろうとしてくれた
理解しようとしてくれた
暖かな愛の言葉を何度も何度もささやきながら
逃げることなんてせずに僕だけをまっすぐに見てくれた
それはまるで
暗闇に差した一筋の光のように
広い砂漠に湧き出た水のように
僕に生きることのすばらしさと
誰かを愛することの美しさを教えてくれたんだ
僕も傷跡も隔てなく一緒に愛してくれると言ってくれた
そんなあなたを僕は世界でいちばん愛してる
そんなあなたは僕がこの世で唯一心を許せた人。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
『光』
追いかけて
それでも追いつけなくて
ただただ光に突き放されるばかりで
そのあまりの眩しさに不意に目を閉じて
もう一度目を見開いたら
もうその場所に光はなくて
見失って
僕は途方に暮れて
まるで
終電を乗り過ごした間抜けな奴のように
僕は夢すら叶わないまま
今も此処で生きてはいるけど
この胸には虚無感が未だ消えずに漂って
なんとも言いがたい無念さが残っている
夢へと向かう
チャンスを逃した自分の愚かさを悔やむばかりで
それでも悔やめば悔やむほど虚しくなって
ただただ溜息があふれるばかり。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
『二つの額縁』
たくさんのダイヤや宝石を散りばめた
高価な額縁におさめられた有名な画家が描いた何十億もする絵があったとする
その隣に木で作られた見窄らしい額縁におさめられた
何処の誰かわからぬ無名の画家が描いたお粗末な絵が飾ってあったとする
そのどちらかを僕が買うとするなら
僕は迷うことなく木で作られた額縁の絵の方を選ぶだろう
何故なら
宝石の散りばめられた絵の方は
見栄っ張りで外面だけに嫌みなほど目を向け
中身の絵の方には全くというほど力が入ってないからだ
それに比べ木の額縁の方は遠慮がちで
確かに地味で見窄らしいが
丹念に角を滑らかに削り丸みを出しているから
それに絵の方は見栄を張ることもなく
安価な絵の具でも上手く色を塗り
やさしさや温もりを感じさせるから
その点
宝石の散りばめられた額縁の方は見栄がそのまま丸だしになったような絵で
まるで温もりややさしさが感じられず
描いた画家の性格が現れすぎているから
だから僕は当然
木の額縁の方を選ぶ
きっとこの絵を描いた画家は貧しくとも絵を描くのが好きなやさしく暖かな人柄なんだと想う
僕は店主に絵の代金を払い
その絵と共に店を出た。
詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
『夢の中の接吻』
とろけてしまいそうな甘ったるいキス
暗闇の中で感触だけが唇に触る
いつから僕達はこんなに近づいたの?
舌と舌を絡ませる
ディープな世界へと踏み込んだの?
途切れる声
グラグラと歪む世界
気づけばそこは
いつものベッド
もちろん君は居ない
すべては夢だった
そう儚い
僕の妄想だった
汗ばんだ
右の頬に手を当てて
脂汗をぬぐい取る
そして
深く深く呼吸を整え僕は呟く
現実はどうしてこんなにも残酷なのだろう…。