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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1076] 溶け合う夜
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


僕の傷だらけの手からすり抜ける
君の傷ひとつないか細く繊細な白い指
鍵盤をたたくように
やさしくすり抜けるその手
夜の闇の中
少しずつ少しずつ
指から消えていく
君の指の感触
聴こえるはずもない
別れの音色(メロディ)

月と太陽が交じる
瞼を開けば
そこはもう明日の世界
窓から差す陽
眠気眼見える静かすぎる部屋
きちんと整理された
真っ白な 殺風景な部屋

机にひとつさびしく置かれた銀の指輪
見覚えのある
僕が君にあげた銀の指輪

あぁ
溶け合う夜
僕は今 朝の中
悲しみに寄りかかる場所もなく
ただただ 虚ろに
真っ青な空と雲を静かに 静かに見上げた
そっとそっと息をつきながら
僕は眩しそうに目を細めながら見上げた。

2007/05/07 (Mon)

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