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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1216] 希望の春
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


長く寒い冬が過ぎようとしていた
木々はその冬の間につけたつぼみを今か今かと咲かせるのを待っている
そのつぼみの一つ一つは希望という名の花
春になれば色とりどりの花が町中を彩り
だれの心も穏やかな気持ちにさせてくれる
そして花の香りは町中を包み込むように広がり
私のもとにもそのあまい香りをはこんでくる
目を閉じればまるで夢の出来事ように過ぎていった季節たち
毎年同じこの景色を見るたび同じ気持ちを感じている
まるであきないその春の鮮やかな花の色合いは
これから進む先の私の不安を和らげ
たくさんの希望を胸にくれる
それはほんの挨拶代わりのように
春ははじめましてと言わんばかりに
私に美しい景色をみせてくれる

そして、
また春は過ぎてゆき
蒸し暑い夏がやってきた
この夏が終わり秋、冬を通り越すことができたなら
また私のもとにあの希望にあふれた春の風は私をたずねてくるだろう
私が生きている限りは春は私のもとに訪れ
そして、
私にあの鮮やかな花々の色合いをみせてくれるだろう
きっと希望はまた私のもとに暖かい春風をつれてやってくるだろう
私が希望を捨て生きることをやめない限り
春を待たずに息絶えてしまわぬ限り
春はいつでも私がみにくるのを待っている
そして私も春の季節がくるのを待っている
このつぼみが希望の花を咲かせるのを冬の間中、ずっと今か今かと待っているんだ
冬の寒さに負けないようにつぼみの頑張りを見習うように
私もこの寒さに堪え忍びながら
じっと花の開花を待っているんだ。

2007/06/30 (Sat)

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