詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
生まれてきたからには何かをこの世界から
消えてしまう前までには残したいな
それがたとえ誰もが知らない場所で存在するとしても
それが形としてこの素晴らしい世界に残るのなら
僕はそっと地味なほどに残したい
やつれた顔の僕が鏡に無表情で映った
ある日僕はばかみたいに笑ってみた
でも鏡の顔はなぜか想ったほど笑えてなかった
すぐまた落ち込んで弱気になって表情すら冷たく固まってしまった
次の日もその次の日も鏡に映る僕は無表情だった
淡く小さな白い光
夢の中で幾つも現れては消えて
僕の胸の中にそれは入り込んで
なぜか暖かくて僕は泣きたくなる
まるでそれは母親のぬくもりみたい
眠れない夜も疲れ果てた帰り道も
いつだって思い出すともなく心に必ずある
その暖かさだけで僕はこれから先もずっと先の道を歩いていけるような気がしたよ
もう逢えぬ白い光
僕の中で世界が目覚めた瞬間それはだんだんぼやけていって
遠くなってとうとう完全に見えなくなって
そして僕は目覚めるよ今日も
僕は見えない光に見守られながら
いつだってその光を忘れたことはない
いつだってもらったやさしさやぬくもりを胸に抱いて生きている
明日も明後日も
ずっとずっと生きていくでしょう
あなたから授かったこの命尽きるその時までは
僕をどうか暖かく見守っててください
僕を照らす白い光
やさしい母のまなざし。
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