詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][得票][編集] |
警告灯が光っているよ
終わりをそっと告げるように
町外れの小さな電話ボックスの中
顔の見えない二人が交わす言葉。受話器は垂れ下がったまま
通話相手だけが私の名前を呼び続けるだけ
その必死の叫びすら私にはきこえない
立ち去った後の道はとても暗く寂しい
車さえ通らない忘れ去られた電話ボックス
私では君を愛すことはできない
そして幸せにすることなど、とても
あの日交わした約束はまるで裏切るためにあるように
いたいけな誰かの心に傷をつくる
私をはじめて愛してくれた、あなたよ
もう逢うこともないけれど私は忘れない
君がくれたやさしいあの微笑み
私は忘れない
たとえ明日のこない闇に向かい歩き出すとしても
私は忘れない
もう二度と逢えないにしても。
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