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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1451] No.005『エアー』
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


下ってく列車の中で
君は寒そうで可哀想
上りの列車と行き違う
僕らは体を温めあった
嘘と本音のラブトーク

溺れていたのは
蛙になり損なった
お玉杓子かなぁ
松葉杖ついてさ
歩きづらそうだな
僕こんなに幸せ
それなのに
アイツは苦しそう

人工呼吸しても
手遅れだよ
周りの奴らは
見て見ぬ振り
本当嫌な世の中
だよなぁ

酸素を分けてやる
窒息する前に
ほんのちょっとね
お節介かな?
いいよ、遠慮するな
厚意を受けとれ
酸素で生き延びろ
溺死する前に
ほんの気持ちだけ
見返りなんか
いいよ、気にするな

下ってく列車の中で
君は寒そうで可哀想
上りの列車と行き違う
僕らは体を温めあった
嘘と本音の座談会

とにかく
僕は眠いんだ
眠くて 眠くて
仕方ないんだ
眠らせてくれ
できりゃ永遠に
眠らせてくれ

あの
蛙になり損なった
お玉のことを思う
今になって思う
あの
蛙は俺だったって
俺は俺を助けたよ
可愛そうだった
そう思ったから

蛙になれない
俺自身へ
俺は俺へ慈悲
したのさ

あまりにも
可哀想すぎたから
あまりにも
惨めだったから
その行為は
悪いことですか?

2007/09/12 (Wed)

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