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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1672] 今夜は少しせつない夜だからU
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


今夜は少しせつない夜だから
悲しくても 寂しくても思いはここにあるから
たやすく孤独にならないで
素直になってごらん
きっとステキな明日が見えてくる

どれだけの年月が目に映る景色を変えたとしても
気持ちだけはいつもあの頃のまま
ためらいは懐かしさを記憶の中に閉じ込める
さあ、今そっと思い出してごらん
想像してごらん
一夜限りの 夜の幻
不安さえも軽く飛び越えてゆく

いつまでも
いつまでも
変わらないもの忘れてしまわずに大事にして
いつまでも
いつまでも
懐かしさだけにすがってもいられないけれど

ずっと ずっと
記憶の中に閉じこめておきます
最初で最後の恋だとするなら
僕らのこの物語の行く先が闇でも光でも思い切り笑えるように
涙せずにいられるように
今はただ君の幸せを願うよ

街はいま眠ったみたいに静かだ
世界は呼吸を止めたように静かだ
気づかない間に僕ら無駄な時間を過ごしすぎた
無駄に酸素を吸いすぎたみたいだね

今夜は少しせつない夜だから
星も見ず 月も見ずに
眠ろう…眠りたい
遠い記憶 頭の中で踊る幻影(まぼろし)
ただ今は静かに静かに目をつむる

街も世界もすべてが眠りに落ちたから
時間だけが流れてく
それならその流れに僕も従うまでだ
逆らえばきっとまた眠れずに思い出してしまう

いまはもうこれ以上なにも言わない…言えない…十分すぎるだろ
僕はただ眠るだけ
悲しみの涙で満たされた水槽のような狭い部屋で魚のようにプカプカ浮かびながら
悲しみを一時的に癒す麻酔のような夢を見る

ああ、夢を見る

僕は愚かな魚だった
ひどく愚かな恋だった

今夜はせつない夜だから
きっとそれでも楽しい夢は見られない
夢の中でも癒されず安らげずうなされながらこの苦しみから解放される朝を待つ

2007/10/20 (Sat)

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