詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
あなたが教えてくれた答
自分で導き出した答と照らし合わせて
見いだした明日に光はあるか
いいや
光があるように願うんだ
強く 強く 強く
それはあの日から
僕の唯一のたったひとつの大事な大事な生きる答(りゆう)のひとつになった
君のそんなまなざし僕の横を通り過ぎていく
人生の終わりへと歩いていく君の背中
ゆっくりとした足取り
僕は見送った
いつか誰かが終わりは新たな始まりだと言っていたのを思い出した
今ならそれの意味がわかるよ
君は終わりへ歩くんじゃない
君がいなくなった世界で
新たな今日がまた何気なく始まるよ
誰かの悲しむ顔も嘆く声も狂ったようにばか笑いする声も聞こえない
誰かの真実を隠そうとする声もそれを囲う傍観者と疑惑の風も感じない
心はなぜか穏やかで
君の立ち去った後の世界はなぜかゆるやかなんだ
まるで
平和な何てことない午後のひだまりの中だった
ここにはもう汚れや偽りなんてなくて
あるとすればただひとつ
それは僕の頬をやさしくなでるように吹く春の風だけだった
振り返れば遠く
思い返せば遥か古(いにしえ)
どんどん遠くなって離れていくばかりで心なしか切ないんだ
そしてすぐに
この秋という切なげな枯れ葉のダンスも
冬になれば一昨年前のことのように思い出す
あの日の春は
あの日の秋は
完全でない不完全なボクらは
今日もまた何かを見失う
けれど何かを見失った代わりに
何かを知らないうちに得ていることに
残念ながら
僕はまだ気づいていない
それはきっと見えない喜びであるから
だが
いつか知ることだろう
真実を知ることでの光をかいま見る
明日への距離が少しせばまった夕暮れに
僕はひとり少し早い夢をみていた
遠く遠い日の出来事をどうでもいいこと
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