詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
ゆく宛もなく立ち止まる 時の途中
夕暮れクライシス
夢を追いかけし人たちはもうとっくの昔に夢をあきらめた
布で縫いつけられた縫い目がやがてほころびほどけてその作りものの胸元から心が飛び出して
育たない草のように舞い上がることもできず
射し込む光にただ護られているだけ
おかしげな表情のない顔立ちのあなたは布でできた顔を最期に笑うみたいにしわをよらせていた
泣きじゃくることもできない
僕にはそんな当たり前な感情さえ
顔に表せられない
きっと
この世界のルールじゃ多分幸せになどこんな人生を歩む僕らには遠い話
忘れてくれとキミは最期に綿だけになり
季節など知らない灼けたような匂い立つ風にキミはさらわれてく 僕の腕から綿がひらひらと舞い上がる 自由を探す旅へあなたがいつだったかゆきたいと言っていた場所にだって行けるさ
旅へ出るそのためにキミは綿となり
ルールに束縛されたこの街を死に絶えなくては旅にも出られやしない
その悲しさ心を焦がす
表情にこそ現れやしないが
それでも確かに今
心だけは泣いている
泣いているんだ
綿毛のように飛んでったキミの行方を風や雲に訪ねることもなく
僕はしばらくそこに立ち止まり同じ真似できない
僕はこれからもルールのあるこの生まれ育った街で生きていく事をキミに許しをもらい
生きてゆこうと無力でも非力でも強くなろうと心に誓ったのです
流れる雲のずっと向こうになにがあるか知りたかったけど
キミのようには生きられぬ僕だから
夢をあきらめ別の道を選んだ
ただそれだけの事さ
それもきっと僕の中では立派な選択肢としてあった
納得するように途中で道を変えることこれも人生では日常茶飯事だと生きる道だと悟り喋れもしないから心でつぶやいた
あの日1人空を見て夢を叶えようとした人がいる
それは確かに僕だった
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