詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][得票][編集] |
通り過ぎる日々の流れが少し緩やかになったら
遠い日の顔をいま思い出すから幼かった思い出
若かれし頃が懐かしく懐かしく思い出されてまたも涙
たそがれ色に染まった夕暮れの街には灯がともり
暮れかかる空のずっと向こう
見下ろせば見えるだろうか この夕暮れの空の向こうには明日がある
どんな明日が僕を待っているんだろうか
少し不安げなかげを胸に潜ませたまま
あの頃の僕が求めていたものはもう今では知らず
答も出せないままここまで歩いてきてしまったの
そんな今を歩くその足取りはきわめて重く影が街灯の光の先揺れている
いつの間にか知らない間にとはさすがに言えないよね
そんな気持ちぎゅっと胸を焦がす
それでも抱きしめる
また新しい今日を受け入れている
昨日のことも片づいてない今日のことなんてましてや明日のことなんて手がつかない
それでもどんどん月日は過ぎ時間も待ってくれずに進むだけ
セピア色の心だけ置き去りにされたまま
心を失くしたうつろな瞳の僕はまるで魂の抜け殻か糸の切れた人形のようさ
その罪の愚かさに
もう今にもへたり込んで倒れてしまいそうだ
それでも明日を上手に生きることをしたいと密かに願う
昨日のことが片づいてないとしても
時間は進むそれだけしか脳がないから明日を生きるしか
輝けるすべが残されてないだけ
夢なんてそれを考えたら流されていく
流れ去るときの波間に漂う貝殻のようにまた間に合ったと思えばすぐに岸辺へ押し戻されるだけ
そしてまたもたそがれ
思い出にそっと思い馳せ遠いあの日を懐かしみ過ぎ去っていく今日に僕なりのささやかないいわけ託す
託すものじゃないと人はいうけれどそれでも僕は今日に何か僕とわかるなにかを残したかったから ああ
影すら消えたように目立たぬ夜の闇の中へゆくんだ
ああ ゆくんだ。
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