詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
楽したり苦労したりして進むよ
この街の早さに追いつくように追いつけるように乗り遅れないようにしてさ
今日も昨日と同じ列車の車両に乗り込み進むよ 合図を受けて汽笛が鳴り走り出すから 僕らは歳をとることから逃げられず色あせていく思い出の景色も見なくちゃならない 悲しくても目は閉じられない
こじ開けた瞳に映る景色が絶望の固まりしかなくてもそれが真実だ この世界では絶対的な真実さ
進むよ
歳をとり やがて
だれもが終わりへ少しずつ歩いていくよ
だれもが最期にたどり着く場所は同じ場所
だから寂しくない
寂しくない寂しくなんてないさ 大丈夫
先に逝った家族が待ってる噎せ返るような真っ赤で濃い夕焼けがふたりを迎えるまで 旅は続く 僕は進む 旅は続き 僕ら進む 列車に乗り降りを繰り返し 明日も列車に乗るだろう
同じ気持ちじゃない
日々変わりゆく切なさやはかなさ背負っていても
でも幸せなのさ 今
進む 進む 進むよ
歩く 歩く 歩くよ
明日まで 明日に
未来まで 未来に
どんなにくじけたって負けそうだって負けたって苦しくたって絶望的でも目の前が暗く悲しくなって流した溢れ出る涙で滲んでも僕は生まれたからには生きて生きて生き抜いてやるのさ
それだけは今唯一分かっていることだから永遠の真実としてあるのだろう
そばにいたいと思い続ける限りあるのだろう
願い続ける限りあるのだろう
望みを捨てないで限りあるのだろう
好きでいる限りあるのだろう
それだけは僕らの永遠の真実なのさ
最期の最期まで列車に乗り日々を繰り返すよ
夕焼けが映える空を
いつか見た空を
ずっと眺めていた
僕らは生まれたことを幸せに思いながら意味を探しながら
ずっと眺めていた
最期の最期まで目を閉じる瞬間まで
世界は僕らをつないで
世界は僕らを生かしておくのだろう
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