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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1889] 蜃気楼 A
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


遠い記憶をどこまでもつないでその全てをいつか時が経った後に素晴らしい思い出だと胸を張り笑って言えるときが来るまでこの旅はたとえ命の炎が先に追いつかなくて無残にも燃え尽きようと終わらずにまだ半分だって走れてはいないんだ

どぎまぎしてとりあえずは見つめあう
足りない何かを埋め合わせるのなんてもう飽き飽きしたのさ
言葉は以外にもモロくてすぐに汚したら愛を引き裂いた後でばらばらに胸の奥で暴れまわった後心を引き裂いて砕け散ったんだ
不器用な言葉の使い道も僕にはないから
捨て去った君にあげるはずだった言葉はしおれて枯れた花束のようにまるできれいな包み紙に包まれていようがその花のあまりの醜さでもはやきれいな包み紙さえも僕には汚く醜いもののようにあろうことか見えてしまった…愚かなまでにもううんざりだと隠してたこと全て言い放ち君を傷つけどん底へと突き落としてしまったのさ
さよならも言わずに約束も何もなくただ泣き崩れる君に背中を見せてそのまま立ち去った悲しく靴音を闇の中コツコツ響かせて
こんなに遠くに離れてもなぜか君の最後の声が耳から離れなかった…いつまでも
私の幸せを返してよと叫びをあげた君の気持ち何もわかってやれずにただ身勝手に勝手な自己判断で決め込んだあの日のお別れに光は戻るのだろうか
新しい恋の相手の心の扉をたたく僕の手はなぜかひどくふるえてしまっていた

真夏の狂った陽射しのように
二日酔いでズキズキした今朝のように
愛なんて…と呟く僕の瞳に映るあるはずもない蜃気楼
君のノロいか恐れてしまってとてもじゃないけどまたあんな結末なのかななんて逃げるように叩くなんてできやしなかった
ふれることさえままならなかった

広い砂漠をさまよった旅人はやがてオアシスを求めて手を伸ばし足を前に出し最後の力を振り絞り
やっとの事でたどり着いたのはただの幻悲しき蜃気楼

2007/12/20 (Thu)

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