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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[2152] やさしい童話〜愛のメロディ
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


誰かが思っているよりも僕らひとりひとりは迷い悩んでるさ
『わかっているさ』と自分に話しかけて自分で自分を慰める

宛もなく続いてく
どこまでも
どこまででも
宛もない旅は続く

'さよなら'さすらう思いはやり場もない気持ち風に吹かして
誰かが知ったかぶりして思う以上に僕らは真剣に生きていて まじめな顔でふざけていても内心悲しい思いをごまかしているだけだったりして

ああ 風に吹かれてみては涙零(こぼ)して
頼りないこの背中に限りない空へ飛び立つ
そのための翼つけてくれるのは誰だろうか
待っている 乙女は茨の蔦絡まる白壁の中
自分をさらいにきてくれる憧れの王子様を
大地を蹴り上げ駆ける白馬の蹄鉄の音期待して待ちわびる乙女のむなしい懇願(ねが)い 望みが絶たれ尽き果てる時はいつくるだろうか
願うより本当の現実を知った方がわからせた方がいいのにな
キミはただただ妄想におぼれ妄想の中でしか生きれぬ妙にカッコよすぎるいかにも現実とはかけ離れた王子を待ち焦がれるだけ… 胸熱くするだけ…だけさ

媚びるように
泣きつくように
叫びはやがて少女の身体を真っ二つに引き裂き生易しくやさしいだけの妄想の物語を無惨にも踏みつけ詰ってしまう
幾年かの歳月を経た時の終わりらへんに痛ましき過去の愁傷(きず)を残したまま

少女は黄昏の中に立ち涙を怒りに変えられても殺意に近い憎しみにはとてもやさしすぎる愛を求めた少女にはできなかったから風となって消えていくだけでした

後にはただ物寂しい静寂と安らぎだけが夕焼けの空を赤くそれでいて切なく染めあげているのみなのでした 愛のメッセージ残したまま空はただきれいすぎる朱に染まるだけにつきるのみと知りました
今ここで少女を哀れんだ'私'は。

2008/02/11 (Mon)

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