それが必要だったと気づき慌ててすくい上げた幸せになんの愛着もなんの喜びもあるわけもなく笑えもしない 二十歳の頃に 少しずつ少しずつ 芽を出し 花を咲かす その望みもしない 適当に選んだ未来が 今 僕の中で息をする かすかな呼吸で 脈打ちながら 息を吸い息を吐く それを何度も何度も 繰り返しながら僕は花が咲くのをただ待つだけの若輩者。
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