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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[2416] ケセナイカコ
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


君の瞳に映る世界が
自分の理想とする大人に近づくたびに
色あせてる気がして
少し遠ざかる幼い頃の景色を見つめた

今はもう返らない
これからもずっとそうなんだろう
過ぎ去ってゆく時間はもう過ぎたら二度と生きられない
だからこそ人はその時その時を大切に大切に生きるんだね

僕の中で形を変えながらきらめく
未来の希望あふれた期待に満ちた
その姿はやがて僕の目に見えてきたけど
願っていた未来とは違う未来の中でなぜか生きてる
そしてそれどころかあれだけ必死で抱えてきた夢を簡単にあきらめてしまってた
あとにはただもどかしさだけが終わりの音色と切ない靴音を響かせ 絶え間なく明日を届けるだけ
終わりの見えない毎日で明日から明日へ行くだけのたびをしいたげたのはほかでもないこの僕自身なのだから 誰も責められやしないのに

あの日 初めて抱いた夢や理想の形を
もう一度思い出していたんだ 忘れたふりしていてもやっぱり忘れなど出来なくて 今もその夢の面影を背負ったまま 生きている
そしてまた今日も今日の僕の抜け殻を残し新しい明日の自分へと脱皮して悲しい気持ちも忘れてく
いつかそのまま全ての記憶ごと忘れてしまいそうで恐かったんだ

胸の中 埋め尽くしてゆく ゆっくりでいい 今は今だけを考えよう
見つめる先にはいつでも過去が映ってる どうしても拭えない
見つめ合う 時間や些細な仕草をただ眺めるだけでもいい
そんな貴重なあの頃をまた見たいよ
わけもなく頬を伝う涙 むりやりロマンを探して引っ張りだしてきた夜
それでも安っぽいロマンだけしか今は手元になかった
こんな記憶だけじゃ証明にはならない何か証になるようなものが必要だ 過去と今を結びつける糸のような証が欲しい
じゃないとそのうち忘れてしまうから
なにもかもを過去の事だと終わったことにだけはしたくない。

2008/04/13 (Sun)

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