詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
静かにただ目を閉じたらそこに何が見えたの?
答のない日々を暮らす意味などあるのか考えてた 空っぽになる途中で果てしない不安だけを残したままそれ以外なにもないぼけっとした頭で
君を見ていた ずっと 君を見てた
君は気づいてるの?
気づいていたのだろうか なんとなく気になってた春になったばかりのころ
夏草は風に揺られて 花はつぼみからすこしずつ花ひらく
その瞬間さえおがめはしないんだけど
気づいたら咲いてたなんて残念がるような春の月初め
そんなすばらしい恋が出来たらなあとため息つく 淡くこぼれだす薄紅色の吐息時の向こう側へ消えたかのように閉じこめられた記憶の引き出しの奥にしまわれた熱い恋をしたもう逢えない幻のあの人
自分の本性を暴き出す様に頭の中の泥棒は黒猫のように夜の闇の中で物陰からうかがう相手の出方
デリケートな気持ちはやがて傷ついてボロボロになった翼をしょっぱい涙で濡らしながら唾をぬるように消毒液の代わりになって毒を消す気休めの所業
目の前の事を素直に歌にして奏でられたらな なにもかもが複雑に絡み合っていく迷路みたいに入り組んでくよ
それを摘発するようにさりげなく逆らう僕は悪あがきばかりくり返して心の中に映る真実に光をあてその形を明らかにする
形ばかりの正しさをかたくなに信じきり言えなかった過ちにふと重ねるように
未来までその悲しみはついてくるから
今悲しくて仕方ない その重みで今にもつぶれちゃいそうで僕の性根もついに崩れそうなんだ
だけどその時見た気がした 君の中に 確かに
見た目や姿形からではとうてい想像できないほどの光を持つ君の中の輝きに惹かれ惚れたんだな 僕は
外からただ見ただけじゃ絶対にわからない心の奥底に眠る気持ちのすれ違いや歪みやズレが教えるその愚かさとその為に傷ついた我慢強さが
きっと君の瞳の中で光る屑星だ。
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