詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
長い時の間にすっかり昔は鮮やかだったその色もあせていつしかさび付いてしまい自転車屋の裏に無造作に積まれた車輪のように
その役目を終えたものは時代の流れに追いつけずに消えてゆく運命なんだね
人も花もなんでも同じ最後をたどる
けれどそれまでは精いっぱい役目を終えるまで使えなくなるまでは車輪にしてもその短い一生を飾る
身も擦り切れる思いでその背中に乗る誰かをはこんでゆく
目的地を決め漕ぐのは乗る人だけど車輪が使えなくなればその時点で車輪は用済みになってしまうから
ゴミの山に咲く花のように 咲く場所を選ばず望みがないからここになんとなく咲いたけどなんだかその汚さよりも不憫さが泥と悪臭にまみれるうちに分かった気がした
咲かないと分からなかった大切なことが
花粉の匂いすら泥のひどい臭いで分からないけど
そんな汚さの中でずっと生きるうちになぜだか本当の悲しみを知った気がする
あまりにも幸せをいままで高望みしていた自分を恥じるだろう ここに咲いた誰もが
すべてを失いたどり着いたボロボロの服でさまよう世の中の敗北者たちも光を見たんだろうか 見えないのにまぶしくあたたかく照らす黒い光を感じたのかな
僕というただ一輪の花もここに咲いた事で気づいた
人生は生きる場所じゃない 生きた価値はきっと心がどれだけ満たされたかだ
見失ってるものは惨めな生活が不幸せだとかどん底だとか
昨日咲いていた僕も いつかここに咲く前の僕も皆僕だから過ちをおかした僕も隠さなければ僕ということだろう
この世の中はゴミの山さ
人は我が物顔でいろんなものをいつでも無駄にして自分を腐らせてる 本当の大切さに気付もしないで日々を無意味に堕落して過ごしてる ただ闇へと落ちてくだけの時間を重ねて新しいものもいつかそれもゴミになる
時間の問題さ
ゴミ袋にうずもれていつか綺麗なゴミになれるのを待つ。
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