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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[2506] 少女も今はスカートは似合わず
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]

今も時々思い出したりする 我慢して抱く愛なんかないさ
祭りの後に降る雨みたいだ 妙に不気味に人気のない神社

夏は今 始まったばかりだけど
縛り付けるからだ解き放たれたい
そんな気持ちで始まった旅立った
はずだけれどいったいなぜなのかな

必死に雨の中汗にまみれ雨に濡れるのも気にせずにあっちやこっち捜したけどそこには忘れかけた夏のなくし物無かったよ
気にならずに走り出しはいいもののただ静かなだけのさびしさが支配する生ぬるい五月雨の中
梅雨はもうすぐ
フュリリララ
僕らはもうすぐ
この愛は この夢は
ダラダラと流す汗に変わる 変わる 変わるだけさ
そしていつの間にか目が覚めたみたいにまた雪の降る季節になり神社は季節ごとに景色を変える
服を着替えるように そしてまた神社は服を…

寂しくなって走り出したまつりのなか
人気のない場所に君を誘い込んで
はじめて交わしたキスは甘酸っぱい
さっき君が買って食べてたリンゴ飴の味がかすかにした
そんな思い出を抱きしめながら うちわで扇ぐ今も夏も。祭りまではもうすぐだ。

果実の皮をきれいに途切れぬようにむくように
脱皮するように一皮むけたときめきがまた騒ぎ出す
この気持ちはまたもや夏へと流れる
空を流れる入道雲のように
夏はまた僕に暑さを知らん顔して届ける
少し遅い暑中見舞い 日陰と日向…くり返す坂道を郵便屋さんのバイクがブーンと下ってくる
真っ白いスカート揺らして
すいかをねだる
君の目にはあの頃防止の隙間からのぞいた美貌と美しい顔立ちが感じさせる未来の君の男選びの広さ
だれもが振り向くほどのその顔でよく玄関先の石垣でアリと戯れる
蚊取り線香 つーんと鼻をつき畳に寝ころび目をつむる
不似合いな僕に愛をくれたあの日の夏がまた今年もくる 僕と君の家で始まる
あの日の君は今僕だけの君で。

2008/05/10 (Sat)

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