ホーム > 詩人の部屋 > 甘味亭 真朱麻呂の部屋 > 今日を売る店

甘味亭 真朱麻呂の部屋


[2676] 今日を売る店
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]

粉みじんに吹っ飛んだ僕の命のカケラが
明日の僕の胸に刺さって今日の記憶を植え付ける
だから明日の僕は今日の記憶を覚えてる

悲しいシナリオは忘れたいけれど
忘れちゃいけない事も世の中にはあるもんだから
自分を傷つけてまで手に取ることがどんなに嫌なのか知っているのに
人は今日を生きてく
人は今日をいつも買い付けに来る
生きる為の場所その人の生きる今日の全てが完売するまで
命のマーケットに買いにゆく 否が応でも
運命には逆らえずに

いやいや
無料だけど
悲しみという
代価と
喜びという
得なのか損なのかわからないお釣りを払って
複雑な思いで手にする同じ囲いの中で過ごすだけの1日
服用する薬みたいにきりもなく買う
乱用する麻薬のようにどうしようもなく欲しくなる
人は 人は 人は
今日を生きれないとただなにもない無に身を投げるしかないから
それならばと今日を買いに来るのかな

真っ白なシャツもやがて流した汗で汚く染まる
そんなふうに神様さえも永久の時間を与えられなかった

その罰として神様よりもっとえらい神様が昔 神様に人間の人生を監視するために永遠の命を与えられた
無期限の罰を与えられた
見えない重い十字架背負う 神様も

だから 僕はわざわざ
無意識に今日を売る店に出向いて今日を買いにおやじに金よりももっと高い物を出す
それはもう戻らない今日の代わりに差し出す過ごし終わった1日 その代価として新しい今日を受け取る
金なら払うからといつか永遠の命と今日に永久に住まわせる永住賃を要求したけど
だめでした

だから僕はこうしてまた人として人らしい終わりに向かい少しでも楽しめるようになおも命をすり減らすえんぴつのようなはかなさを抱いたままえんぴつのような命と時間の中で生きる えんぴつ削りに今日の分の命を差しこむ様に。

2008/07/17 (Thu)

前頁] [甘味亭 真朱麻呂の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -