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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[2735] やさしさの原型
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]

違う価値観を持つ人間同士だからか
はたまた違う場所に生を受けた生き物だからか
なぜ僕らはある日ある時愛を誓ったのに
くだらないことでわがままになり合うのだろう
いい加減な気持ちでこれが優しさって事でと認めあえないものか

時にはそんな堅い人から怒られそうなやさしさも僕はやさしさだと思うのです

そんな人であれたなら

違う部屋で分かりあえることを待つふたりはそんな毎日を暮らすくらいならと吐き捨てるような突然のさよならを選ぶのか
本能のままに生きるにしても
ばかにされるくらい許しあえる事を本当のやさしさと決めるのは大きな間違いかもしれない

だけれど僕らにはそれが恥じなき真心

間違いながらでもやがてそれは真実となる
不器用ながら人らしくそれでも執拗に答は求めずただしんしんと黙る日々 それを答と決める僕らは間違いながらも少しずつお互いの心を

たぶんやさしさや愛に答なんてないんだと思う
答なんて求めた日にはおそらく毎日いらだちを背に生きることになるでしょう

この世で愛すと決めた人を傷つけるより僕は間違っててもいいからそれを答と自由の名の下に噛みしめる

やがて愛ややさしさなんて在るようで存在しないそんな曖昧なものだと知る


だけれどいつの間にかそんな間違いだらけの日々を暮らすうちに自然に互いを認めひとつの夫婦という綺麗な音になり
素敵に響く和音になる
ふたりを必要とする歌はどちらが欠けても響かないハーモニーになる

傷つけ傷つきそして気づく
それよりどうかばかなくらい許しあって人目も気にせず戯れる そっちのほうが楽しいに決まってる

当たり前を当たり前と呼べる日まで僕らは間違った幼い雛のまま母の乳を吸う様なひどく滑稽でそれでいて無意味な程に澄んでいて怒りなど不必要でくだらないほど愚かな強い弱さを持つ人それがやさしさの原型。

2008/07/28 (Mon)

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