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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[2877] 故郷からの手紙
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]

この長い長い旅路のどこか遠い最果てであなたが本当に心をひらける人に出逢ったとしたら
それは私の喜びでもあります なぜなら私はあなたの産みの親
あなたの喜びは私の喜び

そしていつか歳をとり数々の苦難を乗り越えて
一丁前に夢語る日が来たときは私のことを思い出してごらんなさい
今まで出逢ったいくつもの人たちとその出逢ったときの気持ちを心に描いたら
きっとあなたは人間らしい清い人へとなれるでしょう

ほら ほら 涙をお拭きなさい 嬉しいときは笑うが一番
泣いてしまえばすべてがにじむ あなたが笑う姿が一番だから
私の心を洗うから
さあ さあ 笑顔をくださいな 全部がだめなら一房でかまわないと僕は笑った

そんな馬鹿でもしっかりと生きてる私もいるんだと明日の糧にしておくれ
私の愚かなこの姿
そして私を踏み台に高いところにある喜び手にしてください
私は私で元気に陽気に暮らします
あなたが生まれた懐かしい故郷の里で生きています
あなたの帰りを待ちわびながら
季節を数え 花を摘み
あなたの幸せ遠くから願いながら空見上げ流れる月日をしのびます
かすかに霞む今日の空
あなたは元気でいるかしら
あなたは笑えているのかどうか
どうにもこうにも気になるよ

それでも私は絶えずいう 馬鹿のひとつ覚えのようにねえ
それでもあなたの喜びが私の喜びなんだよと
心震わす真実がいつまでも消えないようにと胸に秘めた親心
あなたの心に青空がのぞいて日がさすその日だけ心待ちにしながら 雨に打たれて悲しむ顔も浮かんでしまう
そんな私をあなたなら許してくれると甘やかす そんな私をゆるしてくださいな
おまえの帰りを待っている 季節がいくつ去ろうともあなたの平穏無事だけを祈りつつしたためる手紙の勝手さあれどあなたに届けと封をする 小さな大きな愛をそえ故郷の薫りを同封します。

2008/09/09 (Tue)

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