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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3081] 恋はしらゆりをベニに染めて
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


君の名前は白百合
この花の名前と一緒だね
だけどどっちを見比べてもわからないほど美しいよ
それぞれがそれぞれに違う美しさをもってる
人も鳥もすべておなじように
はかない命が散りゆく日までともにいようと誓ったあの夜
無情くらい今では遠い光

なぜだろう あふれる涙は心のキズにこんなにしみてるはずなのに
ちっとも痛くないよ
なにも感じません

ああ 白百合よただ僕のそばでそんなふうに風にゆれていて
それだけでこの世界を愛せるひとつの理由になる
喜び感じられる
僕がこの世界を生きている確かな唯一の光に変わる
愛が 愛があふれる

今 君の名を呼ぼう
美しい声じゃなくても
何歳になっても
君は美しいままで
白百合は白百合 なにも変わりなどない
たとえばそんな愛が見えている悲しい真実の形を変える
醜い心は目の前にいる君をみれば消える
君も僕も年老いたけれど
ならば年老いた人なりに静かな愛を育もう
明日などないなんていわずゆっくり愛をつくっていこう
今まで通り
絶え間なく
よどみなく
いつまでも

窓際の小さなスペースに花瓶に挿した花屋で買った一輪の白百合の花
今にも散りそうな顔なのに頑張ってる
だから僕らも流れる時間にも歳にも負けず
若く若く心を保とう
いくら頬がたれてきても
しわくちゃになってなにがなんだかわからなくなっても

ずっと 君と生きていた記憶はこの部屋にいる二人の心の中で明日へとつながる
忘れても忘れてないただ言葉にするのが少し恥ずかしくなっただけと涙を風にそっと流したら
あの浜辺あたりを少し歩こう
腰の曲がった二人は沈む夕陽を眺める
心だけはいつまでも若いから口づけだってするよ
なにがおかしいの?
だって愛しあう二人は永久の恋人
流れゆく時がその愛を少しゆらしただけ だから僕らはゆれただけさ

2008/11/08 (Sat)

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