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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3182] 一瞬の永遠
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


物事はそうだ

終わるのが一瞬なら
始まるのも一瞬

そして

始まるのが一瞬なら
終わるのも一瞬

なんです

僕たちはそんな一瞬を繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し何度も感じてるから
人生が長いように思う
時間があるように思う

重なる景色と同じ時間の連続の中でまるでペラペラマンガみたいにちょっとずつ少しずつ変わってく
その違いがやがて途切れるとき一瞬にして人は重ねてきたいくつもの一瞬の下敷きになり朽ち果てる

一瞬で
そう
一瞬で

始まりのように一瞬で
終わりも同じで一瞬で
嘘のようだけど一瞬で
気づいてみれば一瞬で
永遠のような時間も
永久に続きそうな日々も全て一瞬で片付く

たださりげなく終わりがくれば
そうなるだけ
なるようになるだけ
いつかさりげなく始まったように
何気ないほど
従うしかないだけ

逆らったって
逃げ出したって
その一瞬の終わりからは逃げられない
気づくまもなく一瞬のうちに永遠の中へ消えてゆく

まるで一瞬の永遠のように
一瞬だけは永遠だから
一瞬の中で永遠になる存在
一瞬一瞬をまたたくように生きる
フラッシュやストロボみたいに

ただその一瞬のあいだだけまたたける光
それが僕だ
一瞬を積み重ねただけの時間の中で何もかも終わるまで
繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し同じ時間を繰り返し繰り返すんだ

一瞬という永遠の掟にキッと睨まれてひるみながらおどおどしながら

僕たちは進む
時々後ずさる
日々を往く。

2008/11/26 (Wed)

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