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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3226] ふたりのまなざし
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


僕はいつもたくさんの人の視線の先に広がるまなざしの中で生きていて
そして誰もがいろんな人のまなざしの中で今日も暮らすよ
あなたが僕を
僕があなたを
誰かが誰かを
ぜんぜん知らない
会ったこともない人を見つめている
僕はあなたを視界にとらえられず涙を見逃すときもある
ただ人は少し時間を共有しただけで自分より目の前の相手が弱いと知った時点で図々しくなる

今日もいろんな人に見つめられている
こんな世の中でまるで穴ぼこだらけになるほど 僕は見つめられて蜂の巣みたい
これ以上見つめても穴なんかあけるとこなんかないさ
あなたがさんざん今まであけたんだから
小さな隙間をみつけてはボコボコとその血も涙もない指で突っついて心はおかげでレンコンみたい

あなたのまなざしに
今日も見つめられている
時に愛しい大切な人に注がれるまなざしならすばらしい
けれどまなざしの先にいるのがいつでもあなたとは限らない
見たくない現実も見なくちゃ明日を生きることさえ 雨風をしのぐ小屋さえ危ぶまれる
だからイヤでも僕らはそのひどい扱いにたえていく
自分の為に
明日の為に
あなたの為に

どんなに心が深く深く沈んでても顔をふとあげればあなたのまなざしが僕を見てる
満面の笑みで
それがあるから僕は頑張れる つらい時間もこえられる
逃げ出さずたえる
逃げ出す事さえ僕にはできないけれど
あなたのそのまなざし
あなたのその笑顔
あなたがくれる愛情 優しさ

その全てを踏み台にしてはるかな未来へ どこまでも続く明日へ高くジャンプするよ
暗闇が視界をとざしあなたを見えなくさせるまで

あなたのまなざしとともに生きてく
あなたのまなざしに僕のまなざし重ねて

僕らは時間を止めるようにふたりのあたたかい光の世界の中で今夜も傷ついた翼を癒すんだ。

2008/12/03 (Wed)

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