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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3303] ミライ進路
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


今まで来た道を戻るように 僕はまた叶わなかった ひらなかった夢の扉から名残惜しそうに離れるよ
その背中は押しころした嗚咽とかみしめる唇と見えない涙を隠す

影が長く長くのびてゆく うつむいていたから目に飛び込んだ僕よりだいぶ長い影
影は僕にいつになく陽気な声で元気出せよ、おまえにはあの夢は似合わなかっただけさとつぶやいた

悲しみと喜びの狭間で今 揺れている僕
夜は窓の外 当然のように朝をはこんでくる こっちの気も知らないでまた始まらせるのか
ちょっと待ってとは言えない僕のもどかしさもなにもわからないくせして
積み重なる日々はただ僕など眼中にもない顔で時間だけがひとり歩きするよ
気持ちはまだ昨日のあの夜で止まってる

「ごめんなさい」とか「すいません」ってもう僕の中では代名詞だし口癖にもなりつつある
慣れすぎて一日の中で何回もつぶやいてる それをつぶやけばだいたいのことはゆるしてもらえる 内容によるけどふたたび僕はまたその言葉つぶやいてしまいそうさ 許しを乞うように
情けない姿で自分自身に言うのだろう
夢も可能性もまたひとつつぶしました
報告するように泣きながら 気づけば眠ってた 夢の中でも自由がなくて堅物なルールに縛られたまま堅苦しい 重い鎖に体中押さえつけられて
叶えることのできる夢は少しずつ減っていって行ける道も閉ざされて 気づけば無難な道以外ひらけていなかった

進路 選ぶとき 僕は悩みに悩んだ 頭がかち割れるほど
進路 選ぶのは 自分の人生すべてを左右する重要な問題

自分のことだけど決められないよ 道は無限大だとかいう塾のビラや予備校のチラシが舞う街で
本当なのか嘘なのかわからない誰かの声に惑わされながらたしかな道を探す僕はひとり文句も言われながら
そのたびこれは僕の道と声を荒らげた
かれた声でいつかここで泣いたのを憶えてる。

2008/12/13 (Sat)

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