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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3356] 綿ぼこりの旅
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


綿ぼこりの旅は始まってすぐに終わることもある
部屋の主に掃除されちまえばゴミ箱の中さ
風に手伝ってもらわないと脱出不可能さ

でも綿ぼこりはたまに風に吹かれて街を空中闊歩 たまたま開いていた窓から外の世界へ旅に出かける、手ぶらで
ゆらゆら ふわふわ
風にのって楽しいな
ボク綿ぼこり
小さな小さな綿ぼこり
誰かの服について一休みしてただけなのにはたかれて地面に落ちる
悲しい運命をもつものさ

綿ぼこりは旅を続ける
それでも部屋中を
ふわふわ プカプカ
ホウキでたたかれても負けないで立ち上がって隅っこに逃げる
隙をうかがっては窓の外へ
お粗末な姿をしているけど頭は意外にいいのよ、部屋の主とは中がよろしくないけど

でもやっぱり外は疲れるから
この部屋が一番だなあ
夕暮れ チャイムが鳴ったなら
窓が閉められないうちにまた窓から忍び込んで押し入れの隙間に帰る
ボクとおなじ綿ぼこりの仲間のところへ
旅はどうだった?と聞かれて
ボクはこたえた
やっぱり家が一番だね
外は疲れるよ
みんなしてふわふわからだ浮かしながら思い思いに笑ったんだ

綿ぼこりの旅でした。

2008/12/21 (Sun)

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