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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3385] 記憶に足跡を
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


誰になにを言われても
自分は自分なんだから
自分以上は出せないよ
大丈夫 持つべき力で
ゆっくり歩いていけばいい

はじめてこの世界に生まれときからすりゃ
翼も心も汚れてしまったけどそれが頑張ったあかしで歩いてきたたしかな足跡
それが紛れもない真実のように消えないものを残しておきたい
人の目に見えなくたって僕はここにいた
悲しい強がりだけどそんな不確かな足跡を僕は残したいよ
なぜならどうせどんなに顔を世に広めてもいつかは忘れ去られる さだめ

ならば 大切な大切な人の記憶のなかで生きたい
その人があの世にいってしまったら消える記憶でも
僕はあなたに憶えていてもらえば それでいい
あなたと僕がいたという記憶があとあとの世界に残っても無意味だから
僕らはなにも知られないから
それならとふたりは人間の寿命と同じように定められた期限の中でしか保たれない記憶を残したいと願った

今日もひとつひとつつぶしてく時間 その中で果たす何か
無意味でも 無意味じゃないんだ
そうやって積み重ねたことに意味はあると思うから
思いたいから
記憶に足跡を踏み残す
見えないから消えない
見えないから存在しない
そんなふたつの頼りない真実に支えられながら僕らは命を刻む 時を生きる 風のように駆け抜ける
絶え間なく
果てしない
ミチはくたばるまで続く。

2008/12/23 (Tue)

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