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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3609] ゆがんだ光
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


雨が降り止まない
僕の心に音もなくしずかにはげしく降る雨が
僕は気づいたんだ
ものごころついたときからその雨は降っていたんだと
心の中に生まれた光もその雨のせいでゆがんで見える

こたえも理屈も規制もなにも要らない
必要なのはこの涙する僕をゆるす優しい言葉
あまいといわれるけどそれでも傷ついてゆく僕をほうっておくことは僕にはできない
それは僕だからいちばんわかる
当たり前さ 僕だもの
他人に見透かせるわけがないだろう
そこには愛や友さえ立ち入れない場所
永遠に降り続く悲しい雨が降る場所
見える限りの傷は癒せても内部に根付いた悲しみまでは癒せない
悲しいけどそれが真実だ
でもありがとう
ずいぶん楽になったよ
迷惑なもんか
すべてを癒そうと思ったらたぶん傷を抱えた僕も癒す側の君も壊れてしまうから
逆だとしてもおなじだよ

だって見えている光は光でも悲しみのプレパラートをはさんで見たゆがんだ光だから
すべての感情も何かをおそれる不安も無と化す無心になれるときは死ぬときだけ
なににもとらわれずに本気で笑おうと思ったら明日をもしれぬ命とベッドで身をふせる時ぐらいさ
でも悲しくて悲しくて笑えないな
だから悲しみがすぐそば揺れてても人は精いっぱい笑うんだ
たとえ明日悲しみが待っててもならばと笑おうとするつよさがあるから笑うんだ
見えている光がゆがんだ光でも僕はそのうえに新しい光を重ねる
目をそらすんじゃなく
逃げ道を走るんじゃなく
明日もまた悲しみに降られても笑えるように
明日の涙は次の明日笑うためのほんのささやかなセレモニー
明日笑うために涙を流すんだ
そう思えばこわくはない
これはただ単の強がりじゃない
おぼれないように世界の泳ぎ方嫌々学んだから大丈夫だよ
でも忘れないで
僕は僕らしくも生きるよ
それが僕のもつ光。

2009/02/01 (Sun)

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