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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3621] 弱虫ピエロ
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


弱虫ピエロはいつだって涙を隠して笑顔をつくる
へたくそな笑顔をつくる
隠せてないよ
むりやり笑う糸目からは涙が今にもあふれそう
ひきつらせた顔今にも泣き出しそう

本当の弱虫はなんだ? 泣きたいのに気持ちを偽り笑う僕みたいな奴だ
カラフルなテントの中で僕だけがモノクロ
不人気者
失敗ばかりのピエロ
そうじゃない
みんなおなじさ
誰かの声は聞こえない 聞こえない
そうやっていつまで耳をふさいで世の中に媚びを売り魂まで売り渡すのか

弱虫ピエロ 膝を抱えて化粧が落ちるのも気にせず泣き崩れる

使命と自我の狭間で揺らぐ日々
裏に回れば笑顔は消える
それでもステージに上がれば笑う
バカかと思うよ
それでもへらへらゲラゲラ笑う

自分がわからない
すべてがわからない
なにもかもわからない

弱虫ピエロ
鏡に映した僕の分身
ほらそこの自分(おまえ)
笑えてないぞ…

泣いたって
ピエロ
だけど笑っても
ピエロ
でも泣けて笑えもする
それがピエロ
ピエロだって人間さ
それくらいの権利はある
だからピエロであるまえに君は人間
それを忘れるな
すべてがピエロになってしまうまえに
すべてをつくり笑いで偽ってすませられるようになるまえに
人間としてのハートを取り戻せ

僕は引き出しにしまったつぎはぎだらけのハートをもう一度胸に押し込める
ピエロの化粧を落とし人間の顔で笑う
ほら こんなにも僕は笑えてる
人間だ
僕はピエロじゃない

弱虫だけれど
それでもつよい弱虫
ピエロの笑顔は涙を偽るものじゃない
あくまで客を楽しませるもの
だからむりに悲しい気持ちを隠さなくていい
人間らしく泣いてみよう
人間らしいピエロになろう

そうだ それがいい

だから僕は弱虫ピエロ
まれに見る勇気あるピエロ。

2009/02/02 (Mon)

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